Pumpui's Diary

タイに約18年住んだ男のつぶやき

【Book Review】 『スリーパー 浸透工作員 警視庁公安部外事二課』(竹内明)

警視庁公安部外事2課(ソトニ)を追われた元エース筒見慶太朗を主人公とした国際諜報小説。『スリーパー』はシリーズ3作目。今度の相手は北朝鮮の秘密工作員だ。

「背乗り」(はいのり)とは、工作員など他国人が現地人になりすますために身分・戸籍を乗っ取る行為を指す警察用語である。背乗りして日本に潜む北朝鮮工作員と元公安のエース筒見慶太朗の壮絶な戦いが、フィクションを超えたリアル感で描かれている。諜報戦の最前線で戦う倉本や筒見の抱えきれないほどの家族愛、対立する国家に引き裂かれた工作員の思い……。インテリジェンス小説らしく、だれが敵でだれが味方なのか、最後まで読まないとわからない。北朝鮮工作員がこれほど侵入しているとしたら、本当に恐ろしい。緻密に書かれた公安の捜査手法は、精密に公安警察を取材した作者にしか書けまい。

日朝諜報戦の深層が、この一冊に濃縮されている。

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