Pumpui's Diary

タイに約18年住んだ男のつぶやき

ラダック旅行記 Part 6 Zanskar(2)

道路に面しているこの宿では車の音がうるさく、ほとんど眠れなかった。かなり熱いお湯が出る以外、Lehの宿のほうがずっと居心地がいい。

5時。ドライバーが迎えに来た。「Zanskarまで12時間は見てください、なにかあったらさらに時間は延びるので早めに出発してほしい」といわれこの時間に出発することになっていた。移動に加えて、途中摩崖仏をひとつ、Gompaをひとつ見学予定があったのでこの時間設定は正しい。

昨日Kargilの宿に来ていたドライバーと挨拶。フセインさん、陽気なムスリムだ。川沿いを走っていると「You know this river ?スル''ガワ''」と日本語を交えた説明をしてくれる。まだ暗闇のKargilを抜けると、放牧に行く人たちが何組も見られた。この辺りの道は舗装されており、スムーズなドライブ。眠気もあるが、陽気なドライバーと話をしているうちに目も覚めてくる。

1時間ほど走り、Sankuという村で摩崖仏を見に行く。車は街道を外れ、川沿いに走っていく。集落を通り抜け、小川を見ながら少し進んだところで車を止めた。小川沿いに少し歩くとドライバーが上を見ろという。川岸の崖に突然摩崖仏が現れた。まだ薄暗い空を背景に摩崖仏を見上げる。7-10世紀ごろに彫られたものらしい。Mulbechで見た摩崖仏よりも神秘的な気がする。やはりこれは街道沿いと少し離れたところにある違いだろうか。

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Sankuを出発すると、街道沿いに見える家が少なくなってきた。この辺りは川沿いに集落が点在している。Panikhorという村に到着。ここにフセインさんの自宅があり、朝食となった。Kargilを出発した直後に、ご自宅へ連絡していて準備していただいていたのだった。朝食をいただき、ひと休み。フセインさんは朝食を運んでくれるものの一緒に食べることなく、なにやら家族と話しているようだった。この理由はLadakhを離れて知る。

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Panikhorを出て少し進むと山道に入り、車は高度を上げる。そして道の舗装も途切れ、土の上を走ることとなる。雪解け水が路面に流れ、ぬかるみとなった道を走り始める。坂道でもあり、スピードは出ない。陽気なフセインさんも口数が減ってきた。フセインさんには申し訳ないが、この辺りから景色は絶景が続き、ずっと見とれていた。遠くには雪をかぶった山々が、道路沿いにはみずみずしい湿原が見られる。NubraやTsu Moririに行ったときもさることながら、この景色はなんとも口に表せられない。この日から3日間晴天が続き、Zanskarで会う人もこんなに天気のいい日はそう続かない、というほど青空が美しかった。そんな景色を見ていると、いつのまにか時間が過ぎてしまっていた。

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悪路を走り続け、ようやくJuldoという村で休憩となった。「いいか、ここからPadumまで食べるところはもちろん、食料を手に入れるところもない。チャイも飲めない。だからなにか必要なものがあったらここで買っておいてくれ」と言われる。Juldoは湿原の中に数軒の集落がある程度の村だが、このルートでは貴重な補給地点だ。簡易宿舎も建っている。シーズンにはテントも張られそうだ。旅行者の車が何台も止まっていても、すべてインド人。日本人はもちろん白人の姿も見られない。まだシーズンには早いようだ。

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小休止のあと車は出発する。Ladakh最後のGompaであるRangdum Gompaへ向かう。小高い丘の上に建つこのGompaは2000年7月に武装ゲリラに襲われる事件が発生し、3人の僧が殺されている。そのため、今でも丘のふもとには警備員がおり、チェックを受ける。丘の上に着き、Gompaへ行く。数名の僧がいたが、これまでLadakhで入ったどのGompaと比べても世俗的。「おー外国の方かーどこから来たー?え、日本?!そうかそうか」と肩を叩かれ、「ほら、おれたちの写真撮れー」とこちらがひるむほどだ。なにが彼らを陽気にさせていたのか、いまだに謎……。

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Rangdum Gompaを出発。地図ではまだ集落があるようだが、車からはほとんど見えない。だが、突然、道の横にある岩の脇に座っているご婦人方が現れた。「フセインさん、彼女たち、どこから来たの?近くに集落ないでしょう?」「だから、あの辺から歩いて来ているんだって!」「あの辺ってどこよ?」「だからあの辺!」指さす方向、なにも見えない……。まあ、とんでもなく遠くから来ていることだけは間違いないが、さてなにしに来ているのだろうか?動物を放牧している様子もない……。とはいえ、4000mを超える高地を歩いているだけでも、頭の下がる思いである。フセインさん、このルートでは相当な顔で、このご婦人方とも顔見知りのようだ。行く先々で顔見知りと挨拶している。(開通してから10日ほどしか経っておらず、今シーズン初のZanskarとのことだった)

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次のポイントはPensi La、4400mほどの峠だ。もちろんこのルートで最も高いところとなる。Ladakh側は緩やかな上りが続く。路面は相変わらず雪解け水でぬかるんでいるところが多く、20㎞/h程度しかスピードが出せない。このスピードを保ちつつ運転しているドライバーの忍耐には、恐れ入るばかりだ。ようやく到着。記念撮影。道路から離れたところにコンクリートの建物があり、屋上で作業員が2人ほど横になって寝ていた……。恐れ入るばかりである。

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 車は下りになってもスピードが出せない。いや、下りのほうが怖い。Zanskar側のほうが傾斜が急だ。右側に白い塊が見えてくる。Darag-Drung 氷河だ。だが、氷は思ったほど多くなく、ちょっと期待外れ。車はさらに下り、雪解け水が集まってできたかのような小さな池が見えてくる。写真を撮るにも車は止まれない。この辺りで物資を運んでいるトラックがを何台も見る。物資を満載に積んでおり、スピードが出ない。道が細くなかなか抜けるところもないので、そのたびにフセインさんもイラついている。しかし、普通車でさえ、12時間近くかかるというのに、トラックだとどれくらいかかるのだろう……。ただ運転しているのではなく、この悪路である。前職で遣っていたタイ人のトレーラードライバーに運転させたら、なんというかな?とふと思う。

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下り道も緩やかになると、ぽつぽつと集落が見えてくる。ところどころで手を振ってくる子供たちもいる。スピードは相変わらず出せずに、車は進む。この日の宿泊予定地はUftiという村。Padumより少し手前らしい。近くまで行くものの、なかなかHome Stay先にたどり着けない。なんどか道を尋ね、最後に尋ねたのが家主だったというオチもあったが、18時半、無事に目的地に到着できた。

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