Pumpui's Diary

タイに約18年住んだ男のつぶやき

インド横断とカラコルムハイウェイ~ようやくパキスタン

クンジュラブ峠は4800mほどの峠。中国側の出入国手続きはタシュクルガンで行うが、パキスタンから中国へ入るときは、この峠にある税関で念入りな荷物検査が行われた。手順としては

・ゲートをくぐると、何台もの車両が税関検査を待っており、指示があるまで車から降りないようにとの指示を受ける。

・指示を受けて車を下り、車の上に積んである荷物を下ろして検査場へ進む。

・金属探知機にバッグを通し、靴を脱いで金属探知機をくぐる。

・ボディ検査。

・金属探知機をくぐらせたバッグを開けさせられ、荷物検査。

(以下私の場合)

・デジカメの画像を1枚1枚チェック、iPadも同様。幸い、削除された写真はなかった。

・新品のSDカードのパッケージを開けさせられた。SDカードを小型の機械に差し込まれた。なにをしていたのか、今でもわかっていない。

といったところだ。

金属探知機をくぐってから20分ほどかかっただろうか。ここまで入念に荷物検査をされたのは初めてのこと。パキスタン人は何度も来ているので慣れているようだ。税関職員はパキスタン人に対してかなり高圧的な態度。車の中では陽気だったパキスタン人も、このときばかりは神妙な顔で素直に従っていた。その後、同じ会社のもう一台の乗客の検査が終わるまで、車の中で待機することを命じられ、トイレに行くことさえ許されなかった。結局車を停止させられてから、出発まで2時間以上この地にいたことになる。ここは峠で、この辺りで最も標高の高いところである。去年行ったラダックで5300mの峠を越えているが、こんなに長時間滞在したわけではない。息使いが荒くなり、頭も痛くなり始めていた。うとうととしている間にようやく出発。少し離れたところでドライバーが車を止めてくれた。私を含めて乗客は急いで用をたす。後ろから来た職員にドライバーは叱られていた。こんなところで止めるんじゃないと……。

こんなことがあったので、クンジュラブ峠を越えるのは、いやだった。このあとまた検査で何時間待たされるんだ、しかも今回のほうが大量の荷物がある、どれだけかかるんだ、カシュガルで撮った写真、削除されないか……。

無邪気なイミグレ職員も、同じ中国人がいる現場に来ると顔つきが変わってきた。彼が車から下りると、乗客も続いて車を下りた。イミグレ職員は特に声をかけることもなく、事務所に向かっていった。その場にいた職員から、一列に並ぶように指示を受ける。パスポートチェックが始まった。チェックを終え車に乗り込む。来るときに検査を受けた場所へ車は進んだ。ああ、ここで下りてまたチェックかあ……。憂鬱な気持ちでいると車は検査場を通過していった。

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検査場外観。車の中から撮った写真。見つかれば削除対象。

なんと中国出国時はノーチェックだった。タシュクルガンでは金属探知機を通したが、特に引っかからなかったせいか、かばんを開けて検査されることはなかった。もちろん数多くの荷物を持ち込んだパキスタン人は、相当厳しいチェックを受けていたのは知っている(だから長い時間待たされた)。力が抜けてしまった。もっとカシュガルで写真を撮っておけばよかったと、後悔している。

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「This is Pakistan, No China !!! 」

車内で歓声が上がった。

パキスタン領に入ると、すぐに展望台がある。パキスタン人観光客はここで記念撮影をするのだが、我がバスは少しでも早くスストに到着したいのでノンストップ。往路も無視して通過してしまっているので残念だ。往路ではプロのカメラマンに峠で記念撮影してもらう約束をしていたのだった……。f:id:pumpuikun:20181004190840j:plain

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峠周辺は九折の道が続く。

バスはスピードを上げ、スストに到着。イミグレで入国手続き。続いて税関検査のはずだが、職員が「外国人はいいからもう行け」とノーチェックでイミグレを出た。

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スストにあるイミグレーション。

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ススト→タシュクルガンのハイエース

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タシュクルガン行きチケット売り場内

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スストのメインストリート=カラコルムハイウエイ

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スストで食べたチャウ麺。なんか違う……。

フランス人はスストに泊まるという。私はパス―まで行きたかった。声をかけてきた男は1500ルピーで行くという。高い、というとバスはそこから出ているよ、と教えてくれた。こういうところはインドと違って旅人にやさしい。

外に止まっているハイエースは乗客も少なかった。パキスタンのバスはクレイジーエクスプレスといったのはだれだったか……。とにかく飛ばす。パス―に入るが、目的の宿がわからない。「Passu Innの前で止めろ!」と大声で叫ぶと、乗客がドライバーに伝えてくれた。スピードを落としながらその宿を探し、Pasuu Innの前で下りることができた。

※ 途中国立公園入場料として50元(もしくは800パキスタンルピー、8米ドル)を払う。外国人登録証(北部地域に入るとこれを発行されるようだ。来るときはチラースで発行)もここで発行された。写真撮影もあるが、外国人登録証に写真はない。のちにギルギット空港で回収された。

※ イミグレで声をかけてきた男と両替。1元=17.5パキスタンルピー。悪くないと思う。

※ ススト→パス―のハイエースは150パキスタンルピー(約135円)。

※ スストは宿が多い。タシュクルガン行バスチケットを買うときに声をかけてきた男に連れていかれた宿で1泊。3000パキスタンルピー(3人部屋。約2700円)。しかし、この宿はお勧めできない。朝6時ころ、天井から大量の水が降ってきた。雨漏りなんてレベルではなく、バケツをひっくり返したような水。隣のベッドで寝ていた同行者はびしょ濡れに。私も被害を受けたが、彼と比べると微々たるものだった。のちにパス―で会ったフランス人も、行きで一緒だった日本人もスストの宿は悪くないといっていたので、運が悪かったのだろう。

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大雨の降った宿です。

※ カシュガルで撮っておきたかった写真。

 ・商店の鉄格子

 ・棍棒を持った自警団

 ・黒服の公安(警察)

 ・各所にある金属探知機

一枚一枚チェックされると消去されると思い、最初から撮らなかった。